Ukajun books

書店勤務(2社)8年。3児のパパ。本屋さんのこと、本のことを中心にブログを書いています。

002【暴力装置】

丸ノ内線に乗っているからといってドラマが起こる訳ではない。とここまで書いて、あの日のことを思い出す。そもそもボクは日比谷線ユーザーでもなければ、あの頃は大阪の実家で生活しておりまして、あの日の映像はつまりはテレビ越しにみた事件。事件はいつだって、そうだったのだ。直接触れられない場所で起こって、何かを奪われた、そんな気分にさせられるものだ。

本を売ることになる人生など、全く考えなかった。今だってそうだけれど。そもそも、それはたまたま書店員になったんだ。偶然。偶然なんだよ。アルバイトで入った大きな本屋さんの雑誌売場で大きな地震が起きて、翌日、売場社員に電話して、いつもの倍以上に時間をかけて、通勤した。そう言えばその本屋さんはアルバイトに交通費支給はなかった。不安は不安として東京で暮らすボクは、何かとんでもない時代に生きているのだと考えてた。

京王線笹塚には3つくらいパチンコ屋さんがあって、自粛ムードが漂うなか、無責任な足跡を甲州街道は何も残さない。

 

【ずばり東京】開口健/光文社文庫